BL漫画レビュー

 私は腐女子だ。男性同士の恋愛を描いた漫画・アニメ・二次創作が好きだ。好きと言っときながらなんだが、なぜ男性同士の恋愛に惹かれるのかは、よくわからない。女性性を嫌悪しているとか、なんとかとか、その辺の詳しい分析は他の本にお任せするとして、とにかくBL漫画をいっぱい買ったので、レビューというとちょっと偉そうだが、感想をしたためておこうと思う。

 なんでこんなことをしているのかというと、今、絶賛原稿中なのだ。私はBL二次創作小説を書いていて、今ちょうど「モブレ」ものを書いている。

 モブレ=モブレイプ、受け側キャラをひたすら攻(責)めさせるタイプのやつだ。まあ、気軽にやろうと思っていたのに、これがなかなか難しい。「エロとは何だろう……」というところまできてしまった。

 なので、この記事はあくまで「私の好み」「私の感想」であることに留意して読んでいただきたい。

 買ったのは次のとおり。

  • 「俺達は新婚さんかもしれない」ちしゃの実
  • 「ネガ」はらだ
  • 「ちぎれる首輪」TOTIKO
  • 「ドロドロBL」(これはアンソロジーだ)

 

  • 「俺達は新婚さんかもしれない」ちしゃの実

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バナー広告でよく見るやつだ。合理的なので同居、合理的なので結婚したけど本心は……というやつ。受けも攻めももっと真面目なキャラで、ちょっと深刻にすれ違ったり、ノンケ(だと思われる)攻めにビクビクしたり……みたいな感じかと思っていたが、「合理的」でなんでも納得しちゃうちょっとアホの子受けと、それを素直に可愛いと思っている攻めのコメディBL。男色が当たり前な受け周辺のモブ教授がなんか懐かしいなあ。絵がラフで少し読みにくいが、こういうテイスト好きな人いるよな、という印象。

 

  • 「ネガ」はらだ

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はらだ氏のBLはずっと気になっていて、いつか読みたいと思っていたので購入。ギャグ調?の「ポジ」もあるが、暗いBLが好きなのでこちらのみ買った。

正直、絵が耽美すぎて好みではないかもな、と思っていたが(私が好きな絵は「In these words」みたいな骨太なやつだ)そんなことはなかった。

嫉妬や恋愛感情が複雑な三角関係「後悔の海」、これ、これだよ!!!

『なんでや!!!なんでやァ!!!女やったら、まだ、我慢したんに、なんでよりによって、あいつねん!!!なんで、俺じゃなくて、あいつねん!!!俺のほうが先に、好きになったんに!!!』

 あ〜、心が痛くて気持ちいい〜。独占欲、支配欲、醜い駆け引き、これですこれ、私が求めていたものです。

これ以外にも独占欲の落としどころが良い「ピアスホール」、頭の弱い受けが可愛らしい(そして可哀想な)「リスタート」もあり、満足度が高かった。

 

  • 「ちぎれる首輪」TOTIKO

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ガタイの良い健気ワンチャン攻め×女王様受けという、私の好みとまるで逆な設定だが、ワンチャン攻めの可愛さにノックアウト(死語)。

私が本当に純粋に好みに準じて書くならドS攻め×ガタイ健気ワンチャン受けにしただろう。でもこういうのもう古いのかなあ。今は逆が主流である。

他人とのセックスを見せつける受けを見つめる健気攻めの顔が可愛い〜。ワンちゃん〜。健気キャラが好きなのでお気に入り。

 

  • 「ドロドロBL」

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アッやべ、amazonにねえや。

表4に書いてあるが、共依存、メス堕ち、キメセク、三角関係、拘束など、私の好み要素これでもかと羅列してある。

特に私の好みなのがメス堕ちもの「まっすぐな恋のすすめ」(柏木真)、キメセク「塔の上には誰も居ぬ」(後頭)、共依存「俺の春」(木村ヒデサト)。

他にも好きなのはあるのだが、とりあえず感想を書くのはこれだけ。

メス堕ちもの、好きなんだよなあ。ノンケで女たぶらかしてるような性的に適当な男がメス堕ち(めちゃくちゃ好みだ)、さらにそのノンケから掘られに攻めの家を訪れるまでになるというオチがさらに良い。

 

キメセクもののこの話もとても良かった。できれば一冊ものとして読みたかったなあ。

『オレの欲しいもん全部ここにあるから』

『オレ、幸せだよ』

薬がガンギマリした攻め(?)のここのコマの表情がバチクソ良い。最後のコマ=終わらせ方が非常に渋くて痺れた。

 

共依存ものは時代遅れの村で人柱にされる男と青年の話なのだが、こういうアンソロジーでこの設定、この方言、良い。受けが裸で『こんな体でええのですか』と言うシーンがあるが、その裸の色気のなさが逆に色っぽくて良い。

 

 

 今回買ったのはこれだけだ。でも私は大切なものを忘れている。

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いやあこんな、私が語るなんて恐れ多い名作……。

文庫で全10巻と長編だが、そんなことはすぐに忘れる。めちゃくちゃ面白い。

本当に簡単に言うと、母の再婚相手に性的虐待を受ける少年ジェルミの心の傷を、再婚相手の前妻の息子イアンが癒そうと努力する、するが……というお話だ。

確かに私の好みだから買った漫画だが、好みとか云々はもう、名作の前では意味がない。

何がどうすごいのかというと、まず描写の重さ。性的虐待の描写が重い。確かに性的虐待とか暴力とか、そういうのは好きなのだが、そんな私でも「もう止めてあげてよ!!」と言いたくなる、でもページを捲る手は止まらない。面白いから。

そして出てくるキャラクターの魅力。皆どこか闇を抱えているというか、足りない部分がある。そこが人間的なので、単に憎いキャラなんていうのはいない。

あー、こんな名作の何がどうすごいのかなんて全部書けるわけないだろ……。神様なんだから……。(感想は挫折。とりあえず読んでほしいなんて、月並みな言葉だが……)

 

 

 結局、私の好きなBLって、人間臭くてエロくてドロドロしていていりゃあいいんだ。あと、「男と男の」恋愛ということは、強調しておきたい。受けだから女の子みたいに可愛くて女の子みたいに喘ぐなんてのは、私の主義に反する。男同士だから性的に緩くてもいいし、世間との違いに苦悩するかもしれない。男同士だからわかることもあるかもしれない。そういうBLを、女だけど、探求していきたい。

 

 原稿頑張るぞ!!